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暦部「潮汐」をくわしく解説!

 月と太陽の引力の影響で海面の高さが日々変化する。これを潮汐 ちょうせきという。


 月に面した地表では地球の中心より月の引力が大きいため、月に引き寄せられる力が働き、反対に、月の反対側の地表では地球の中心より月の引力が小さいため、差し引き月から離れる向きに力が働く。このいずれの地点でも地球の中心から離れるように力が働くので、海面が高くなる。これが満潮である。そこから経度で 90 度離れた場所では反対に海面が低く、干潮になる。実際の干満は摩擦等の影響でふつうはこれより数時間の遅れが生じ、その遅れの量も日によって変化する。太陽の引力も同様の作用を及ぼすが、その大きさは月の引力の作用の約半分である。


 新月や満月の前後数日間、月と太陽の力が重なって干満の差が大きくなる。これを大潮 おおしおという。反対に上弦や下弦の前後数日間は干満の差が小さく、小潮 こしおになる。大潮と小潮の間の期間は中潮 なかしおとよぶ。また小潮の末期で干満の差が一段と小さくなり、満潮 ・ 干潮の変化がゆるやかで、同じ潮の状態がだらだらと長く続くように見える状態を長潮 ながしお、長潮から大潮に向かって潮の干満差が次第に大きくなっていく状態を若潮 わかしおという。半月周期で、大潮 ・ 中潮 ・ 小潮 ・ 長潮 ・ 若潮 ・ 中潮の順にくり返すことになる。


 一般に満潮や干潮の時刻は東に行くほど早くなる。例えば、北海道では平均して東京芝浦の時刻より 1 時間半から 2 時間早く、逆に九州では 3 時間程度遅い。また、地形等の影響で場所や日によりさらに時間がずれることもある。例えば、高松では平均して 6 時間以上遅れる。各地の補正量は表に示したとおりだが、これは平均値で、日により誤差がかなり大きくなることがあるので注意して欲しい。

【相馬 充 国立天文台光赤外研究部(2006年11月)】

 

時刻の補正

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