物理 / 化学部「物質の密度 鉄も鉛も液体に浮く」をくわしく解説!
鉄を液体に浮かせるには水銀を用いればよい。水銀の密度が 13.546(g/cm3)、鉄が 7.874 であることを知れば、直ちに納得できよう。銀 (10.50)や銅(8.96)は浮くが金(19.32 )は沈むのである。鉄そのほかの金属は重い(正しくは密度が大きい )と思い込んでいるが、元素でもかなり密度の値は違う。よく知られたもので重いものは白金 (21.37 )、ついで金である。 鉛は重い。密度は 11.34 で確かに鉄や銅より上である。しかし、鉛にしても水銀には浮くのである。
軽く、しかも比較的低価格の金属はアルミニウム (2.6989)であり、航空機にこれが使われるのは当然だろう。その他の卑金属 (貴金属に対して一般にそれ以外のもの)は、亜鉛が 7.13 、白色正方のスズが 7.31 で、まあまあというところであろうか。アルカリ金属のナトリウムが 0.97 、カリウムが 0.86 とたいそう軽いが、実験で扱うことが少ないから、ピンとこないだろう。
非金属ではダイヤモンドが 3.513 で金銀に比べてずいぶん軽い。結局この宝石の物理的な価値は硬いことと、光をよく透し屈折率が大きい (2.4195)ことであろうか。
化合物になると、水以外で標準状態で存在する液体のほとんどは有機物だが、過酸化水素 (1.442)やクロロホルム(1.489)などの特例を除いては、多くは水よりやや軽い。油が水に浮く理由である。木材となると、よく乾燥したものは 0.5 前後のものが多く、木が水に浮くのは当然だといえる。とくに桐は確かに軽いと感じるが密度も 0.31 である。水に沈む重い木としては、こくたん (1.1 ~ 1.3)が例外として存在する。
花コウ岩が 2.6 ~ 2.7 、凝灰岩が 1.4 ~ 2.6 であり、普通の土砂や石まじりの土はこれらの粒の集まりである。粒子の間には、多かれ少なかれ隙間があるから、実際の砂などはこれより軽いだろう。その証拠には、水分を含むと土砂の密度は大きくなる。
【理科年表編集委員会(2006年11月)】