理科年表オフィシャルサイト

もっと身近にサイエンスを      国立天文台 編

MENU

環境部「世界のCO2排出量」をくわしく解説!

 地球温暖化の原因物質は、二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、フロン類など温室効果ガスである。二酸化炭素は、石油や石炭などの化石燃料を燃焼したり、森林伐採や焼畑など土地利用の変更によって発生して、大気中に排出される。先進国の経済発展は化石燃料をエネルギー源や自動車の燃料として大量に消費して達成された。排出された二酸化炭素は、大気中の寿命が長く 5 ~ 200 年 )、だんだんと大気中に蓄積してきたことから、大気中の CO2 濃度が上昇している。産業革命前 1750 年頃は 280 ppm であったが、 1960 年には 315 ppm、そして 2004 年には 380 ppm に達した 環 13 参照 )。

 人間活動から排出される種々の温室効果ガスのうちで CO2 が約 60 % を占めること、また化石燃料の燃焼などエネルギー起源であり、ほぼすべての人間活動に関わることから、 CO2 排出量の把握と削減するための対策が温暖化防止のためには重要である。

 いくつかの国際機関や研究機関が長期にわたって化石燃料から発生する CO2 のデータを公表している。表に掲げたデータは、温室効果ガスなどのデータを収集して公表している二酸化炭素情報・分析センター Carbon Dioxide Information Analysis Center, CDIACから提供されているデータであり、この分野では著名な G.マーランド博士らが作成したものである。天然ガス、石油、石炭などのエネルギー起源の CO2 排出量、セメント製造からの排出量、ガスフレアリングからの排出量を表わしている。セメント製造では、その過程で石灰 CaCO3を用いるので、分解することによって CO2 が排出される。またガスフレアリングは、原油を採掘する際に、一緒に地表面にでてくるガスを燃焼することによって発生するものである よく煙突から火がでているシーンがある )。




 図 1上図、左図 2同、右は同じデータを 2002 年について、国別排出量と国別一人あたり排出量を示したものである。全世界の CO2 排出量241 億トン CO2 換算、年表の数字は炭素換算に注意 )。米国が世界の排出量の 4 分の 1 を占めて 1 位であり、 2 位が中国、 3 位がロシア、 4 位が日本、 5 位が中国の順となっている。国土の面積が狭い日本の排出量 はアフリカ全体の排出量よりも多い。中国、インドは途上国であるが人口がそれぞれ 13 億人、 12 億人2006 年度と多く、 CO2 排出量も多く、現在急速な経済発展をしていることから、今後とも排出量が増加すると予想されている。 2020 ~ 2030 年ごろに途上国が先進国の排出量を抜くと予測されている。

 一人あたりの CO2 排出量では、米国、オーストラリア、カナダ、ロシア、ドイツ、韓国、イギリス、日本と先進国が上位を占めている。途上国は先進国の 10 分の 1 以下と発生量が非常に少ないことが特徴である。

【原沢英夫 独立行政法人国立環境研究所 (2006年11月)】

 

【 参考文献 】
環境省地球環境局監修 :STOP THE 温暖化 2005 』、p.14、環境省2005 )
 http://www.env.go.jp/earth/ondanka/stop2005/index.html

タグ

閉じる