環境部「日本の河川のBOD」をくわしく解説!
BOD は、生物化学的酸素要求量 (Biochemical Oxygen Demand)の略称であり、河川、湖沼などの水域における水中の有機物などの汚濁物質を分解するために、微生物が使う酸素の量 を示している。 BOD の値が大きいほど有機物による水質汚濁が著しいことを示している。 BOD は、河川の環境基準の項目となっており、河川の水質を保全するために用いられる重要な水質指標である。 河川や湖沼、海域の公共用水域を保全するための環境基準は、水質について達成し維持することが望ましい基準を定めたものであり、人の健康の保護に関する環境基準 (健康項目)と生活環境の保全に関する環境基準 (生活環境項目)の 2 つから構成されている。健康項目については、人の健康を保護する目的から、全国一律に水質項目と基準値が設定されている。生活環境項目については、河川、湖沼などの水利用や自然環境保全の点から水質階級 (類型)が設定されており、その類型ごとに基準値が設定されている。河川の場合は、水質指標として水素イオン濃度 (pH )、 BOD 、浮遊物質量( SS )、溶存酸素 ( DO )、大腸菌群数が用いられている。 もっとも水質が良好な河川 (河川区間)は類型 AA であり、 BOD は 1 mg/L 以下である。最も汚れた河川(河川区間)は類型 E であり、 BOD で 10 mg/L 以下となっている。
日本の河川の BOD をみると、年によって BOD の値が変化していること、天竜川や木曽川など BOD からみてきれいな河川がある。淀川や多摩川など BOD が 1980 年では 3.3 ~ 6.7 mg/L、 2003 年では、 1.2 ~ 1.3 mg/L と汚れていた河川もだんだん水質が良くなっていることがわかる。
湖沼の場合は、 BOD に代えて、化学的酸素要求量 (COD)が有機物の汚染状況を表わす指標として用いられている。また、湖沼のような滞留性の水域では、富栄養化現象が発生することから、その原因物質である窒素やリンの濃度も環境基準となっている。海域の場合は、湖沼と同様に COD が用いられるが、加えて油汚染の指標として、 n- ヘキサン抽出物(油分等)が環境基準項目となっている。
【原沢英夫 独立行政法人国立環境研究所(2006年11月)】
【 参考資料 】
公共用水域水質測定結果については、環境 GIS を利用した下記のホームページで参照できる。
( http://www-gis2.nies.go.jp/suisitsu/ )