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平成16年【序文】

 理科年表2004年版を、お届けします。
 一家に一冊、自然界の辞典。理科年表は、家庭でもものづくりの現場でも、また教育・研究でも、自然に関するさまざまなデータを手軽に得られる世界でもユニークなデータブックとして、長年好評をいただいています。
 悠久に思われる自然界にも、変化があります。理科年表から見ますと、気象のように毎年データが加わってゆく要素もあれば、火山や地震のように突然の災害が貴重な歴史データとして加わることもあります。また、科学の成果といえども決して不変不動ではありません。学問の進歩につれ、精度向上、訂正、新しい事項、視点の見直しなどが加わります。新天体の発見や大きな発明もありますが、特に近年は、急速に高まる人間活動の影響も重要な要素になっています。
 理科年表は、それらの変化も含めて自然界を小さな冊子に凝縮し、常に役立つデータブックとしての使命を果たしてゆくため、毎年たゆみない改定・改良を続けています。特にここ数年は「21世紀の理科年表・自然界の辞典」を合言葉に、大きくなりすぎたページ数を整理して見やすく扱いやすくする工夫と同時に、社会の関心の高まりに応え、生命や環境に関する新しいページやデータの充実に力を注いできました。
 今年の版でも、大変多くの改定や更新が織り込まれています。特に地学の部および生物の部では、日本産岩石の物理定数、噴火の規模、火山ガス、太陽地球環境、動物分類、細胞小器官の分類、など多くの新規データの掲載がスタートしました。またGPSを用いたより正確な地理データや脊椎動物の寿命の大幅な更新は、広く関心を引くでしょう。その他、多岐にわたるデータが更新されました。さらに今回は「生命科学トピックス」4項目に拡大し、めざましく発展する生命科学の最新の息吹をお伝えすることになりました。
 おなじみの暦の部では、新年の暦をお送りします。「天文トピックス」も健在です。物理化学の部では、新元素「ダルムスタチウム」の登場が特筆されます。
 私たちひとりひとりの市民が科学に根ざした知識を持ち、またそれらを活かして身のまわりの現象に主体的に対応してゆけるかどうかは、これからの社会にとって本質的でありましよう。同時に、私たちをとりまくこの多様で奥深い自然を知ってゆくことそのものが、私たちの心や生活を豊かに彩ります。
 理科年表の毎年の改定は、編集委員会を中心に、科学諸分野にまたがる研究者や研究機関、そして編集部のご協力で進められています。新しい理科年表を目指して多くの議論と苦労をいただいている多くの方々に、篤くお礼を申し上げます。

2003年 10 月

国立天文台 台長 海部宣男

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