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平成27年【序文】

 理科年表2015年版をお届けします.
 2014年夏には各地で猛烈な降雨が観測され,とくに広島市では土砂崩れに よって甚大な災害が起こりました.また御嶽山が噴火し,大きな被害が出まし た.災害に合われた方々にお見舞い申し上げると同時に,亡くなられた方々の ご冥福をお祈りいたします.
 さて,2015年版で改訂したおもなデータや解説は以下のとおりです.
  「暦部」では2015年のデータを掲載しています.また,恒星時の算出方法を 詳しく丁寧に解説しました.  「天文部」では,太陽系の元素組成を2009年の最新データに置き換えまし た.大幅な改訂になりましたが,新しいデータの採用に至った理由がトピック スで解説してあります.また,もう一つのトピックスでは太陽系の多様な惑星 の姿を紹介しました.
 「気象部」では,集中豪雨による各地の記録的降水量や温暖化・都市化の影響 も考えられる最高気温の更新など,2013年までの観測情報を掲載しています.
 「物理/化学部」では単位に関連する項目を大改訂しました.加えて,「単位・ 標準器の変遷」という項目を新設し,単位がいつの頃から定義され,時代とと もにどのように移り変わっていったのかがわかる一覧表を掲載し,単位につ いてより深く知ることができます.
 「地学部」では,日本の山の標高の測定方法が三角測量からGNSS に変更し たことで,±1m の範囲で数値に変更が生じました.今年度版では新しくなっ た数値に対応しています.御嶽山の噴火記録も掲載されています.記録では 1979年,1991年,2007年と噴火しており,12年,16年と15年前後の周期で 噴火していることがわかりますが,今回の噴火は前回から7年と予想外だっ たこともわかります.
 「生物部」では,最新の分類に基づき「藻類分類表」「原核生物分類表」を改 訂しました.
 「環境部」では,国内外の平均気温の平年差,海面水温の変化傾向,温室効 果ガス濃度やオゾン層の状況など,地球規模で起こっている気候変動につい て,2013年までの最新情報を掲載しました.また,昨年発表されたIPCC 第5 次評価報告書に伴うデータの改訂も行っています.
 どうぞ,理科年表2015年版のデータをご活用ください..

2014年10月

国立天文台 台長 林 正彦 

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