理科年表オフィシャルサイト

もっと身近にサイエンスを      国立天文台 編

MENU

平成28年【序文】

理科年表2016年版をお届けします.
2015年には各地で台風による豪雨があり,特に関東平野の中東部で鬼怒川の堤防が決壊して大きな被害がありました.災害に遭われた方々にお見舞い申し上げると同時に,亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたします.
  さて,2016年版で改訂したおもなデータや解説は以下のとおりです.
 「暦部」では2016年のデータを掲載しています.2016年から「山の日」(8月11日)が国民の祝日に加わります.「山の日」が施行されると,日本の祝日の“ない”月は6月のみとなります.
 「天文部」では,変光星に関する情報を大幅に改訂しました.日震学は星震学へと発展し,KeplerやCoRoT 衛星による観測によって,恒星の内部自転を調べたり,内部構造を探ることが可能になりつつあります.トピックスでは,探査機ニューホライズンズが捉えた冥王星の姿を解説します.惑星の地位を譲りはしたものの,冥王星はいま最も脚光を浴びている太陽系天体です.面目躍如といったところでしょう.
 「気象部」では,2016年より「世界のおもな気象災害」を新設しました.温暖化の影響か,日本でも局地的大雨(ゲリラ豪雨)や竜巻の.度も年々増えています.気象災害に関しては,被害年表をそんな“自然災害大国”日本に限っていましたが,今後は世界中で起こる大きな気象災害もあわせて掲載していきます.
 「物理.化学部」では昨年版から引き続き「単位」項目の見直しをおこないました.また,原子量,同位体存在度に関しては,国際純正・応用化学連合(IUPAC)が本年度発表した最新データに対応しています.
 「地学部」では,国内外の地理データを最新の観測結果に基づき改訂をおこなっています.とくに世界のデータ(山・川・湖の高さ・長さ・広さ等)に関しては,参考文献である “The Times Comprehensive Atlas of the World” が3年ぶりに改訂されたため,それに基づいていくつかの数値が変更されています.
 「生物部」では,隔年で交互に「動物分類表」と「植物分類表」を掲載しています.2016年は「動物分類表」を刷新しました.DNA による解析が構築されて以降,頻繁に再構成がおこなわれるようになりましたが,今回は最新の見地に基づき,総勢30名の専門家によって,“いちばん新しい”動物分類表が完成しました.
 「環境部」では,世界の平均気温の平年差,海面水温の変化傾向,温室効果ガスやオゾン層の状況など地球規模で起こっている気候変動について,2014年までの最新情報を掲載します.環境部に収載されるデータも多岐にわたります.そのため,一見関連のなさそうなデータを通じて,地球上の動・植物の種数の変動を知ることができ,さらに気温や水温といった気候データを重ね合せることで,それぞれの関連性を見出すことができるかもしれません.
 どうぞ,理科年表2016年版のデータをご活用ください.

2015年10月

国立天文台 台長 林 正彦 

閉じる