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宇宙には星はいくつあるの?

地球上から肉眼で見える( 6 等星まで)星の数は、理科年表( 恒星の数と分布 )によればおよそ 8600 個ですが、もちろんこれは宇宙にある星すべてではありません。

 次に、望遠鏡を使って星をひとつひとつ数えることができる銀河は、我々の銀河系である天の川銀河も含めて、せいぜい数十万から約百万光年程度の距離までにある銀河に限られます。たとえば、天の川銀河の場合、観測される星を数え、さらに理論モデルを用いた補正を行うことによって、太陽に換算しておよそ 10 の 11 乗(1 のうしろにゼロが 11 個)個分に相当する質量の星があることがわかっています。
 しかしながら、これは銀河の世界ではほんの近い距離に過ぎません。さらに遠くにある銀河になると、星をひとつひとつ区別して数えることは不可能になります。そのため、銀河全体の明るさを測定することで星の総数や総質量を推定することになります。
 この方法を用いて宇宙にある星の数を求めた研究者がいます。オーストラリア国立大学の天文学者 (2003 年当時 )であるサイモン ・ ドライバーとその共同研究者達は、 2dF 銀河赤方偏移サーベイで観測された、我々からおよそ 3 億光年の距離までにある多数の銀河の距離と明るさを測定し、その明るさからそれぞれの銀河に存在する星の数を正確に推定しました。 2dF 銀河赤方偏移サーベイは全天の一部分のみを観測したサーベイですが、得られた結果を全天に拡張したところ、宇宙には 7 × 10 の 22 乗個(7 のうしろに 0 が 22 個 )の星があると 2003 年にオーストラリアのシドニーで開催された国際天文学連合で発表しました。
 これだけでも、非常にたくさんの星が存在していることがわかりますが、わずか 3 億光年の距離までにある銀河に基づいた結果に過ぎません。 120 億光年を超える距離にある銀河も多数発見されており、その間にも多数の銀河が存在しています。また、小さくて暗いために近くにあってもドライバーたちの観測では検出されない銀河も多数存在するでしょう。

 このようなことを考えると、宇宙にはまさに無数の星があるといえるのではないでしょうか。


【小野寺仁人 延世大学、韓国(2006年11月)】

 

図 1 すばる望遠鏡よって得られた、矮小不規則銀河ろくぶんぎ座 A国立天文台提供 )。
星をひとつひとつ数えることができる距離にある銀河です。
この銀河は小さく、天の川銀河の 1000 分の 1 程度しか星がありません

( http://subarutelescope.org/Pressrelease/2004/02/j_index.html より取得 )


図 2 ハッブル宇宙望遠鏡によって得られた、現在最も暗い天体まで写っている画像NASA 提供 )。
この画像中にあるほとんどの天体は銀河で、それぞれが無数の星の集団です。

( http://hubblesite.org/newscenter/newsdesk/archive/releases/
2004/07/ 
より取得 

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