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環境部「重要湿地」をくわしく解説!

湿地の定義


  湿地wetland 、ウェットランド は、川の始まりから海の浅いところまで、山地水域から湿原、湖沼、河川、人工水系を含み、干潟、マングローブ林、サンゴ礁、藻場などの沿岸域まで、水のあるところ、水と命の出会うところの総称である。湿原や干潟などの湿地には、多様な動植物が生息し、独特の生態系が形成されている。水質浄化の面でも湿地は重要な機能をもっており、保全することが必要である。しかし、これまで日本の湿地は、人間活動の影響により減少したり環境が変化してきた。このため、各地で湿地の保全を求める声が高まっている。一方、国際的にも、 2009 年 5 月に開催されたラムサール条約第 7 回締約国会議において登録湿地の倍増を目指す決議がなされるなど、湿地保全の気運が高まっている。表 1 に世界の湿地面積、また表 2 にラムサール条約に登録されている日本の湿地を示した。

 環境省は、日本の湿地保全施策の基礎資料を得るため、多数の専門家の意見を得て重要湿地として、湿原、河川、湖沼、干潟、藻場、マングローブ林、サンゴ礁など、生物多様性保全の観点から重要な湿地を 500 ヵ所選定している「日本の重要湿地 500 」 )。これらの重要湿地について、湿地の特性や地域の状況に応じて保全地域の指定等に向けた検討を行うとともに、重要湿地とその周辺における保全上の配慮の必要性について、普及啓発を進めることとしている。

 重要湿地選定基準はつぎのとおりである。

基準 1 湿原・塩性湿地、河川・湖沼、干潟・マングローブ林、藻場、サンゴ礁のうち、生物の生育・生息地として典型的または相当の規模の面積を有している場合
基準 2 希少種、固有種等が生育・生息している場合
基準 3 多様な生物相を有している場合
基準 4 特定の種の個体群のうち、相当数の割合の個体数が生息する場合
基準 5 生物の生活史の中で不可欠な地域 採餌場、産卵場等 ) である場合

< 環境省ホームページ > http://www.sizenken.biodic.go.jp/wetland/

【原沢英夫 独立行政法人国立環境研究所(2006年11月)】

表 1 世界の湿地面積

  1999年(百万ha)*
アフリカ 121~25
アジア 204
ヨーロッパ 258
中・南米 415
北米 242
オセアニア 36
合計 ~1280

*1999 年湿地資源の全球レビュー結果
出典 : Millennium Ecosystem Assessment , 2005 : Ecosystem and human wel l- being : Wetlands and water Synthesis. http://www.millenniumassessment.org//en/
Products.Synthesis.aspx#Wetlands

 

表2 ラムサール条約に登録されている日本の湿地

  登録地名 所在地
(都道府県)
登録年月 面積
(ha)
1 釧路湿原 北海道 1980年6月 7,863
2 伊豆沼・内沼 宮城県 1985年9月 559
3 クッチャロ湖 北海道 1989年7月 1,607
4 ウトナイ湖 北海道 1991年12月 510
5 霧多布湿原 北海道 1993年6月 2,504
6 厚岸湖・
別寒辺牛湿原
北海道 1993年6月 4,896
7 谷津干潟 千葉県 1993年6月 40
8 片野鴨池 石川県 1993年6月 10
9 琵琶湖 滋賀県 1993年6月 65,602
10 佐 潟 新潟県 1996年3月 76
11 漫 湖 沖縄県 1999 年5月 58
12 宮島沼 北海道 2002年11月 41
13 藤前干潟 愛知県 2002年11月 323

 

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