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昭和64年【序文】

 理科年表は、第一冊から第六十一冊まで東京天文台で編纂をしてきたが、1988年7月1日、東京天文台が東京大学を離れ、文部省の国立大学共同利用機関の一つとしての国立天文台に改組されたことに伴い、第六十二冊からの理科年表の編纂は国立天文台で行うこととなった。
 この理科年表の暦部、天文部および気象部の編纂の担当は国立天文台であるが、その他は、何人かの方々の監修により編纂されたものであり、気象庁、通信総合研究所、東京大学理学部、東京大学地震研究所の関係者をはじめとする多くの方々に協力をお願いし、国土地理院、海上保安庁水路部、東京都老人総合研究所などからも資料を提供して頂いている。
 永年にわたって理科年表の編纂を担当してきたものの一人として、理科年表が理科についてのデータ・ブックとしてのある一定の評価が得られてきたことについては誇りに思っているが、多くの執筆担当者とともに、これからも理科年表の改善を図っていきたいと思っている。
 この間、多くの読者の方々からのご意見も頂いているが、限られた頁数という制約のために、すべてを実現してこなかったのは残念なことであるが、頁数の制約というのも、この理科年表の有用性のための条件の一つであることも、読者の方々は理解して頂きたい。
 読者の声を取り入れた例としては、昭和59年版から始まった生物部がある。その以前には、理科年表といっても生物関係の資料がなく、理科という言葉にそぐわないとの読者からのご意見を頂いていた。我々としては、生物という分野のデータがうまく理科年表にはなじまないのではないかと心配していたのであるが、担当者の努力により、他の部分ともマッチした方法で生物部が加えられ、名実ともに理科年表となることができたことは、非常にうれしく思っている。
 自然科学の各分野では、いまでも大きな進展をとげつつあり、データもたえず付け加えられ、改良されてきている。といっても、すべてのデータを毎年掲載するわけにはいかず、ある程度評価を得たものだけを取り上げるという方針である。これからも改善すべき点は理科年表には沢山残されている。このうえとも本書への御意見また御助言を寄せて下さることをお願いする。

1988年 10 月

国立天文台 台長 古在由秀

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