理科年表オフィシャルサイト

もっと身近にサイエンスを      国立天文台 編

MENU

平成23年【序文】

理科年表2011年版をお届けします。
2010年の夏は、本当に暑い夏でした。各所で記録的な猛暑という報道がありました。一方、太陽の黒点が数が少なくて、気象への影響も話題になりました。理科年表は、それらさまざまな記録を載せ、毎年改訂している「生もの」のデータ集です。気象以外の分野でも、科学的根拠に基づいた新データ、蓄積データ、解説などを含めて毎年改訂しています。
今年版で改訂しましたおもな点や解説は、以下のとおりです。
 「暦部」「天文部」では、種々のデータの改訂とともに、2012年5月の日本で観測可能な金環食を踏まえて、「日食・月食の周期」で「食」のしくみや、周期の計算方法を解説しました。天文トピックスは「太陽系外惑星の直接観測」「太陽黒点活動は低迷期か?」の2テーマを取り上げました。
 「気象部」では、夏の猛暑による観測記録や、集中豪雨の記録的降水量の更新などを行いました。いわゆる異常気象ともいえる状況が読み取れると思います。
 「物理/化学部」では、「電磁気の単位系の比較」表をよりわかりやすく改訂したほか、化学部門では生体物質、生理活性物質の化学構造式の見直しを行いました。
 「地学部」においては、災害規模の適切な把握のため、地震・津波による被害等級の項目を追加し、津波予報・注意報に関する項目を一新しました。火山活動においても記録の更新と、地磁気、電気圏関連では国際標準の改訂などに伴うデータの更新を行いました。
 「生物部」では、生命科学の最前線を紹介するため「人類の起源への新たなまなざし」と「ウナギの完全養殖に成功」をトピックス記事として掲載しました。
 最後に「環境部」では、80年近くにわたる気象の経年変化データから真夏日や熱帯夜などの傾向が読み取れますし、二酸化炭素などの温室効果ガスのデータも掲載しました。また、トピックスでは、「黄砂―地球規模の輸送―」と題して、そのしくみと被害、そして恩恵もあることを解説しました。
 どうぞ、理科年表2011年版の旬なデータをお使いください。
 

  2010年 10 月

国立天文台 台長 観山 正見 

閉じる