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固体、液体、気体の状態を教えてください。

 水はとても身近な物質ですが、その状態に 3 通りあることはよく知られています。液体の「水」、固体の「氷」、気体の「水蒸気」です。水だけでなく、物質は固体、液体、気体と、温度によってその状態を変えます。固体は一定の形と体積を持っています。液体は一定の体積は持ちますが、固有の形を持ちません。“ 水は方円の器に従う ” ということわざがありますが、液体の水はどんな形の容器にも入ることをいっています。ここで方円の方は四角を円は丸を意味します。一方気体は一定の形も体積も持たず、しかも容器によってその体積は変化します。固体や液体は無色でも目に見えますが、無色の気体は、目に見えないためその存在は実感しにくいですね。有色の気体もあり塩素の黄色や臭素の赤色、ヨウ素の紫色があげられます。さてミクロに見ると、固体の中では分子や原子は規則正しく並んで、お互いの結びつきが強く、各々の分子や原子はその場所で振動しているだけです これを結晶と呼びます )。温度が上がると、分子や原子は熱エネルギーを得て、移動できるようになります これを拡散と呼びます )。液体の水が容器の形に従って四角く も丸くもなることをいいます。一方気体は一定の形も体積も持たず、しかも容器によってその体積は変化します。固体や液体は無色でも目に見えますが、無色の気体は、目に見えないためその存在は実感しにくいですね。有色の気体もあり塩素の黄色や臭素の赤色、ヨウ素の紫色があげられます。さてミクロに見ると、固体の中では分子やイオンは規則正しく並んで、お互いの結びつきが強く、各々の分子やイオンはその場所で振動しているだけです。温度が上がると、分子やイオンは熱エネルギーを得て、移動できるようになります これを拡散と呼びます )。ただ、まだお互い同士の結びつきが完全に切れたわけではありません。そこで液体としての流動性が生まれます。さらに温度が上がると、お互いの弱い結合が完全に切れ、1 つ 1 つの分子やイオンが自由に飛びまわれるようになります。温度により状態が変わるだけなので、物質の質量は変化しません。固体から液体に変わることを融解またその逆の現象を凝固と呼び、そのときの温度を融点ないし凝固点、液体全体から気体に変わることを沸騰、その逆を凝縮と呼び、そのときの温度を沸点といいます。また固体から液体を経ずに気体に直接変わる現象は昇華と呼びます。常温で昇華する身近な物質として、ドライアイスや防虫剤のナフタリンやパラジクロロベンゼンなどがあげられます。沸点や凝固点は圧力により変化します。水の沸点と凝固点は 1 気圧のもとではそれぞれ 100 ℃ と 0 ℃ ですが、圧力が低くなると、沸点や凝固点が低くなり、圧力が高くなると高くなります。また低温で真空下に置くと氷も液体の水を経ないで水蒸気に成り昇華します。温度と圧力と状態の関係を表したものを状態図または相図と呼びます )。この図で、曲線で分けられた 3 つの領域にそれぞれ氷、水、水蒸気が存在します。この図において 0.0098 ℃、0.006 気圧のとき、液体と固体と気体の水が共存します。この点を三重点と呼びます。融解曲線上の各々の点では氷と水が、蒸気圧曲線上では水蒸気と水が共存しています。昇華曲線上では水蒸気と氷が共存しています。食品を三重点以下の温度と圧力下に置くと、水分が昇華して乾燥食品ができます。これを凍結乾燥といいます。インスタントコーヒーは代表的な製品です。また図から気付くように 1 気圧以上のとき、温度が 0 ℃ でも水は液体の状態になります。氷の上をスケートで滑るのは、スケートの圧力で氷が水に変化し、抵抗が減るからです。これは水に特異なことで、他の物質では融解曲線は右側に傾いており、このような現象は見られません。

【梅澤香代子 日本大学文理学部(2008年 5月)】

 

図 水の状態図

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