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気象部「梅雨入り・梅雨明けの平年値」をくわしく解説!

 5 月から 7 月にかけて、日本付近で曇りや雨の日が多く現れる現象を梅雨といい、この時期に中国大陸から日本の東海上にかけて現れる停滞前線が梅雨前線である。


 梅雨前線は、南からのモンスーン(大陸と海洋の配置により、夏と冬で風向がほぼ逆転し、それに伴って降水などの気象に顕著な季節変化が起こる現象)によって運ばれる暖かく湿った気流系と大陸の高緯度から南下する乾燥した気流系が合流することによって形成される。雲の帯は 5 月の南西諸島付近から次第に北上し、 7 月に本州付近を覆った後消滅する。この期間が日本の梅雨期である。



 梅雨入りの日がかなり明確にわかる年もあるが、いつの間にか梅雨の季節に入っている年も多い。これに対して梅雨明けは、太平洋高気圧が強まって日本付近の梅雨前線を北に押し上げて起こることが多く、比較的はっきりしている年が多い。しかし前線が停滞したまま北の高気圧が次第に暖められ、梅雨前線が消滅して梅雨明けになる年もあり、その場合は明瞭な梅雨明けとはならない。



 各地の梅雨期は平均して 43 ~ 50 日ほどであるが、年による差も大きく、梅雨入りしてすぐ中休みに入ったり、雨がほとんど降らず梅雨期間を特定できなかったりすることもある。気象庁では、気象予測をもとに行う梅雨の入り明けの速報とは別に、梅雨の季節が過ぎてから、春から夏にかけての実際の天候経過を総合的に検討し、各地の梅雨入りと梅雨明けの確定値を発表している。



 これも年によって違うが、平年値で見ると西日本各地では梅雨期間の 6 または 7 月の降水量が年間の最大値を示す地点が多く、東日本では台風と秋雨前線時期の 9 月に最大となる地点が多い。

【山内豊太郎(2006年11月)】

参考文献 】
日本気象学会編 :新教養の気象学 』、p.78 ~ 80、朝倉書店1998 )
日本気象学会編 :気象科学事典 』、p.373 ~ 374、東京書籍1998 )

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