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環境部「二酸化炭素」をくわしく解説!

 二酸化炭素は、無色無臭、不燃性の、化学的に安定した気体で、赤外線を効率よく吸収する。温室効果ガスの中で二酸化炭素は大気中の濃度が最も高く、地球温暖化への寄与度は約 60 % と最も大きくなっている。このため世界各国が人為的排出の削減に努力するとともに、二酸化炭素濃度の変動を正確に把握し、炭素循環の機構を解明する必要がある。


 大気中の二酸化炭素濃度は、陸上および海洋での吸収・放出過程によって変動する。陸上では、植物の光合成による吸収と地中への貯蔵、生物の呼吸、微生物による土壌有機物の分解、化石燃料の燃焼など人為的排出などにより増減する。海洋では、表層での吸収・放出が大気中の濃度に直接影響を及ぼし、その後海水の深海への移動、プランクトンなどの生物活動による深海への炭素固定などによって海水中に溶けた二酸化炭素の濃度が変動する。
地球上の炭素循環と収支を模式的に表わすと図のようになる。 1990 年代の平均では、大気中に炭素換算量で 7800 億トンの炭素が二酸化炭素の形で蓄えられており、さらに毎年 32 億トンが蓄積されている。海洋では二酸化炭素はイオンの状態で溶け込んでいるため、大気中の二酸化炭素の約 50 倍もの量を無機炭素の形で蓄えている。



 二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスが大気中に存在すると、地表付近の温度は上昇する。すると放出される放射も増えるので、ある温度で上昇は止まり、平衡状態になる。温室効果ガスが増えるにしたがって温室効果も大きくなり、平衡温度が上がる。これが今大きな問題となっている地球の温暖化である。現在の含有量によって地球は 33 度上昇している。



 気候変動に関する政府間パネルIPCC地球温暖化第三次評価報告書 2001によると、地球の平均地上気温陸域における地表および海面の温度の平均は、 20 世紀中に約 0.6 度上昇した。この値は 1990 年代が高温であったため、第二次評価報告書 1995の見積もりより約 0.15 度高くなっている。昇温に伴う海水の熱膨張と氷の融解のため、平均海面水位は 10 ~ 20 cm 上昇した。そのほか山岳氷河の後退、雪氷面積の減少、降水量の増加、雲量の増加などが起こった可能性が高いとされている。


 降水量が増えるのは、気温の上昇により空気の飽和水蒸気量が増え、大気中の可降水量が増えるためである。このように、水蒸気は人工的に大気中に放出しても、降水になって排出されるのであまり気にしなくてよい反面、気温が上がると自然に大気中の水蒸気が増加し、それがさらに気温を上昇させるというフィードバック効果を持っている。地球の 2 倍の太陽放射量が降り注ぐ金星では、気温の上昇が激しいので飽和量もどんどん増えて、ついに水蒸気が飽和に達することなく、すべての水が気化してしまうまで気温が上昇したと考えられている。このような効果を、とくに暴走温室効果という。

【山内豊太郎(2006年11月)】



図 地球上の炭素循環と収支
『 異常気象レポート 2005 』気象庁より )

参考文献 】
嶋村克 ・ 山内豊太郎 :天気の不思議がわかる本 』、p.51、廣済堂2002 )
気象庁編 :異常気象レポート 2005 』、p.192 ~ 193、気象庁2005 )

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