地球外の惑星でもオーロラは見えるのでしょうか? そしてどのように見えるのでしょうか?
地球の他にも木星(図 1 )、土星(図 2 )、天王星、海王星などにオーロラが見られます。このようにオーロラは、大気と惑星全体を包む磁場である「固有磁場」を持った惑星では普遍的に見られると考えられています。 70 年代後半には、探査機パイオニアやボイジャーによって木星、土星のオーロラが初めて撮影されました。地上では、これら惑星の昼側しか見えないことと、オーロラが主に紫外線で光っていることから、可視光で観測することは大変難しいと思われます。宇宙からみると、これら惑星のオーロラは、 (磁気)両極上空に楕円形に広がった光の帯( オーロラオーバル)として見えます。地球のオーロラも宇宙からみると同様のオーロラオーバルが観測されます (図 3 )。
図 1 ハッブル望遠鏡が紫外線で撮影した南北極上空に見られるオーロラ (前面の上下 2 枚 )。背景の木星は可視光による撮影。 ( HST / NASA ) |
図 2 ハッブル望遠鏡が数日間に渡って観測した土星南極付近のオーロラ。この写真のオーロラ画像は紫外線によって、輪を含む土星本体は可視光で撮影された。 ( HST / NASA ) |
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木星のオーロラを光らせている荷電粒子の源として、衛星イオの火山活動により放出されたガスの寄与が大きいと考えられています。また、木星では自転のエネルギーや木星の固有磁場が作り出す木星磁気圏のプラズマ対流パターンがオーロラ活動に強い影響を与えています。更に典型的なオーロラオーバル以外にも、イオやガニメデといった衛星を通過する木星磁気圏の磁力線の根元(木星大気にぶつかる場所 )でもオーロラが光っています。
木星や土星のオーロラは地球のオーロラより明るく、出現後も地球の場合より長時間 (土星の場合、数日間 ~ 10 日間)継続します。我々の眼で土星や木星のオーロラを見ることができたら、大気主成分である水素の出す赤い (ピンク)光が顕著に見えるでしょう。
変わったオーロラ現象として、木星の衛星( イオなど)にもオーロラのような現象があります。イオの薄い大気に、木星磁場に閉じ込められている高エネルギー荷電粒子が衝突して発光します (図 4 )。また最近(2005 年頃 ~)では、固有磁場が無いとされる火星にも、表面的 ・ 局所的に存在する強い残留磁場に沿って高エネルギー荷電粒子が降り注ぎ、火星大気に衝突することによってオーロラのような現象が起こることが発見、確認されました。
( 詳しくは、Mars Express 探査機のページ :
http://www.esa.int/SPECIALS/Mars_Express/SEMLQ71DU8E_0.html )
【島田延枝 宇宙科学研究本部/JAXA(2007年 8月)】
図 4 ガリレオ衛星が可視光で撮影した木星の衛星イオ (右)と木星の影の中で撮影されたイオのオーロラ (左) (http://www2.jpl.nasa.gov/galileo/news30.html#hotspot より) |