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物理 / 化学部「圧縮率」をくわしく解説!

 1 パスカル ( 1 Pa= N/m2 、 Pa は圧力の単位パスカルの記号) の圧力を加えたとき、もとの大きさに対してどれほど縮むかの圧縮率 κ は、固体については 10-11 程度だが、液体ではこの 100 倍ほど縮む。単位はギガ ・ パスカルGPa だから、 1 気圧のもとで 1 Pa= N/m2 の圧力を加えたとき、エチルアルコールは 1.11 × 10-9 だけ小さくなる。同じエチルアルコールでも 5000 気圧という高圧のもとでは、縮む割合は小さく、 0.22 × 10-9 ということになる。高圧下では当然液体は密に詰まっていることになり、同じだけ圧力を増しても縮み方は少ないということだろう。メチルアルコール、アセトン、エーテルなど似た値になっている。 1 気圧下の水はそれより小さく 0.45 × 10-9 、グリセリンはさらに小さく 0.21 × 10-9 である。アルコール類は分子が大きく複雑であり、これが液体状になっているとき、ある程度隙間のあることを教えている。水銀のような金属では原子が密に詰まっているから 表には高圧下の κ の値しかないが、当然縮小する余地が少なく、圧縮率も水の 1 ~ 2 割ということになる。日常的には、固体金属や液体を縮ますなどということは、想像しにくい。しかし大規模な土木工学とか、ロケットの設計などにはこの値は欠かせない。

【理科年表編集委員会(2006年11月)】

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