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現役大学院生さばしろが伝授!理科年表の楽しみ方

第2回 さばしろが伝授!地学オタク流『理科年表』の楽しみ方


現役の大学院生でありながら、TwitterやInstagramなどのSNSで、地学の楽しさをイラストを交えて発信しているさばしろさん(@sabashiro_art)。

そんな地学徒であるさばしろさんに『理科年表』の楽しみ方やあれこれを綴ってもらうプチ連載企画の第2回目。

『理科年表』は歴部・天文部・気象部・物理/化学部・地学部・生物部・環境部の7つの部で構成され、様々な分野をカバーするデータブックですが、地学徒ならではの『理科年表』の楽しみ方とは…


 

 

こんにちは、さばしろです。

あなたは、理科年表をどんな風に使いたいですか??

 

 

 

 

 

「えーっと、日高変成帯の変成年代はいくつだったかな・・・?あー、ジルコン年代で17-24 Maか・・。」こんな感じで、辞書として使ってもいいと思います。

良いのですが、日常生活のなかで「日高変成帯の変成年代が気になる」ことってそんなにありますか!?オタクでも年に1回くらいです。

そこで、おススメの『理科年表』の楽しみかたは、「読み物にする」です!

え・・・・全部読めってこと・・?「硫カドミウム鉱物の晶系は六方晶系、理想化学方程式はCdS、色は黄~赤、条痕は黄、亜金属光沢を示す、へき開を示し、空間群はFm3m・・・」いやいや、そうではありません。ペラペラとページをめくって、図や表を眺めてみてほしいのです。

日本列島の岩石の分布面積を示した表があります。それをみると、堆積岩が全体の58%を占めています。なかでも一番多いのは新しい時代(新生代)にできた地層です。つぎに多いのが古生代の地層。全体の約12%を占めています。なぜ、古生代の地層はこんなに広く分布しているんだろう。よくみると注釈がついていました。「近年、三畳紀のコノドント、ジュラ紀―白亜紀の放散虫などの微化石が相次いで発見され、かつて古生層といわれてきた地層の大部分は中生層(おもにジュラ系)であることがわかってきた。したがって、この値は近い将来、大幅な改訂を要する。」となっています。なるほど。地層ができた時代を推定するのは難しいんだなあと実感させられますね。地学の分野では、新たな研究成果によって表の数値が塗り替えられることがよくあります。

「2021年に噴火した世界の火山」という表には、大量の軽石を放出して話題となった「福徳岡ノ場」の火山噴火が記録されています。

変化しつづける地球の「今」がこの本に詳細に記録されている。そう思うと、オタクはワクワクが止まりません。

 

 

 

 

『理科年表 2023』

国立天文台 編 丸善出版 発行

2022年11月発売 定価:1,650円

※2024年版は、2023年11月発売予定

 

 


さばしろ(@sabashiro_art

地学への愛を伝える人、大学院生。地学、大学院生をテーマにしたイラストを描いたり、化石や岩石標本をつかった小学生向けワークショップの開催、高校への出前授業等など、地学の面白さを伝えるべく活動中。

https://sabashiro.com/


 

 

 

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