水星の日面経過 2006年版(平成18年版)
水星の日面経過は,地球から見て,水星が太陽の前面を横切る現象で,水星の太陽面通過ともいう.水星の公転面は地球の公転面に対して約7度傾いているために,2つの面が交わる線上(水星の昇交点,降交点方向)を水星と地球が同時に通過し,太陽-水星-地球と一直線に並んだときに日面経過が起こる.地球が水星の交点方向を通過するのは毎年11月10日頃(昇交点)と5月8日頃(降交点)なので,この頃に水星が交点に来れば日面経過になる.
水星の昇交点から水星が1周する時間は約87.97日,地球は365.25日である.この比はおおよそ13:54となり,地球が13周する間に水星は54周し,約13年後に同じような日面経過が見られる.より高い精度では,地球と水星がそれぞれ46周と191周する周期があり,46年ごとにほとんど同じような日面経過が見られる.
2000年から2085年までの水星の日面経過を図に示す.46年ごとの昇交点付近の一連の日面経過は徐々に北(上)側へ,降交点では南(下)側へ移動する.この移動のずれは見かけの太陽の大きさの約20分の1(昇交点)から10分の1(降交点)なので,当分の間,図に示した昇交点での4系列,降交点での2系列の日面経過を繰り返す.
図 2000年~2085年間の水星の日面経過経路図.円は太陽,青線は昇交点付近,緑線は降交点付近における日面経過を表す.日面経過の月日は世界時で示している.(2006年11月8日の経過では各時刻における水星の位置を記している.*1hは翌日の1hを表す.)