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金星の日面経過 2004年版(平成16年版)

 金星は地球より太陽に近い軌道を回っているので,太陽と地球の間に来て,太陽-金星-地球と一直線に並ぶことがある.この時,地球からは金星が太陽の前面を通過する現象が見られる.これを金星の日面経過といい,非常に稀な現象である.2004年6月に金星の日面経過が見られる.前回は1882年12月にあり,その前の1874年12月の日面経過は日本でも見られた.
 金星は約584日毎に太陽と地球の間に来て内合となるが,金星の軌道面は黄道面(地球の軌道面)に対して約3度傾いているため,日面経過は地球が金星の昇交点または降交点方向に来て,同時に金星も昇交点または降交点に来たときに起こる(図1).地球が金星の昇交点の方向に来るのは毎年12月初旬,降交点に来るのは6月初旬頃である.このため,金星の日面経過は6月か12月に起こる.

図1 金星の交点方向に金星と地球が同時に来れば,太陽-金星-地球が一直線になり日面経過となる.

 金星の昇交点に対して,金星と地球が1周する時間はそれぞれ,約224.699日と365.251日である.この比は8:13に近く,金星が13周する時間と地球が8周する時間は近いので,約8年後には金星と地球が同時に昇交点方向に来て,日面経過になることがある.より永い期間では,金星と地球がそれぞれ,395周と243周したときの差は非常に小さくなるので,約243年後には殆ど同じような日面経過が見られる.日面経過は昇交点と降交点で起こるので,その周期は8年,121.5年,8年,105.5年の繰り返しとなる.太陽と金星の見かけの直径の比は約32:1なので,32分の1の金星が太陽の前面を通過することになる.

図2 1631年~2012年間の金星の日面経過経路図.実線は昇交点付近,点線は降交点での日面経過を表す.

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