第16回 「馬力」についての話
2026年の干支は午年(しかも丙午!)なので、馬にちなんだ話題を。科学技術の進歩によって、基礎物理定数の測定精度はますます向上しており、誤差範囲が小さくなっている。例えば「時間」に関しては、300億年に1秒も狂わない光格子時計が開発されている。このように極限まで精度が上がっているなかで、いまだに「馬力」という言葉もよく耳にする。「あの人は馬力があるね」のように底力のある人を指す言葉ではなく、単位として。馬力とは、75 kgの物を1秒間に1 m動かす仕事量を表す単位で、もともと馬1頭が発揮する仕事率を1馬力と定めたものである。仏馬力(PS)と英馬力(hp)があって、フランスやドイツ、日本ではメートル法に基づいた仏馬力を採用している。1 PSは735.5 W(0.7355 kW)になるのだが、「この車の最高出力は〇 kW」というよりは「この車は300馬力」と聞くことのほうが多い気がする。そのたびにその漢字や言葉の語呂から、300頭の馬が連なって車を引っ張っている様子を想像してにやにやしてしまう。ちなみに『丸善 単位の辞典』(丸善、2002年)には、1馬力=3驢馬(ロバ)力と書いてあり、馬1頭はロバ3頭分にあたるらしい。900頭のロバが…などと想像するとかなりカオスである。




